
京成佐倉駅のホームに立つと、いまでも高校生の私に戻ってしまう
あの跨線橋の階段の音と、改札を出てすぐの空のひらけ方は、20年以上経ってもびっくりするほど変わっていません。
40代でUターンしてきた最初の数か月、私は通勤先のない暮らしのなかでわざわざ京成佐倉駅まで歩いて、ホームのいちばん端に立ってみるということを、何度か繰り返していました。理由はうまく説明できないのですが、自分のなかで「佐倉に戻ってきた」という事実を、もう一度、自分の足の裏でなぞり直したかったのだと思います。
はじめまして。地域ブログ「佐倉でくらす」を書いている、ユカといいます。
高校までは佐倉、結婚で都内、40代でまたここに
生まれは佐倉市内。志津寄りの古い住宅街で、高校生まで親元で暮らしていました。
大学進学で都内に出て、そのまま就職して、結婚して、というよくある流れで、佐倉を離れていた期間は20年と少し。途中で実家にもあまり帰らない時期もあって、自分のなかの佐倉は、ほとんど高校時代の風景のまま止まっていました。
40代に入って、夫婦で住む場所を本気で考え直したときに、候補のひとつとして佐倉が浮かびました。夫は都内に通うことになるので、JR総武線快速で東京駅まで一本という条件は、いま思えばかなり重要なポイントだったのだと思います。実家の親も少し体力が落ちてきた頃で、車で20分以内に駆けつけられる距離にいたい、という気持ちもありました。
「便利だから戻る」と「親孝行で戻る」のどちらでも説明しきれない、もう少しぼんやりした理由で、結局このまちに帰ってきています。
子どもと佐倉城址公園を歩いていたら、知らない佐倉が見えてきた
戻ってきてからの休日は、小学生の子どもを連れて佐倉城址公園を散歩するのが半ば習慣になっています。
高校生だった私は、城址公園に来ることはあっても、ベンチで友達と話して帰るだけの場所として使っていて、お堀の跡や馬出空堀の説明板を読んだことはたぶん一度もありませんでした。子どもと一緒に「ここなんて書いてある?」と説明板を順番に読んでいくと、自分が育った街なのに知らなかった話が次から次に出てきて、これが思っていた以上に面白かったのです。
すぐ隣に国立歴史民俗博物館があるという贅沢さも、東京で20年暮らしたあとでようやく「あれは普通じゃない」と気づきました。子どもが小学校の社会科で縄文〜江戸の通史をやり始めたタイミングで、何度か通うようになって、雨の日の選択肢として歴博を持っているという事実が、地味ですが暮らしの安定感に効いている気がしています。
志津・臼井・ユーカリが丘、佐倉には「複数の佐倉」がある
佐倉に住むまで、私自身もちゃんとわかっていなかったのですが、このまちは「ひとつの佐倉」では括れない場所です。
京成佐倉・JR佐倉あたりの城下町エリアと、京成志津・ユーカリが丘のニュータウンエリアと、京成臼井の駅前商業エリアとでは、暮らしの空気がはっきり違います。スーパーの選び方も、子育てのコミュニティも、夫の通勤動線も、エリアによって最適解が変わってくる。実家の友人と、ユーカリが丘で家を建てた高校時代の同級生と、臼井に住むパート先のママ友の話を並べると、同じ「佐倉市民」でも見ている景色が結構違うのです。
このブログでは、自分の経験だけで佐倉を語らないように、できるだけ気をつけて書いています。Uターン組として私が見えている佐倉と、ニュータウンに引っ越してきた人が見ている佐倉と、ずっと地元に居続けている人の佐倉は、たぶん地続きだけれど違うものです。
カナさんと書く佐倉、ずっと地元側にいる目線
このブログには私のほかに、もう一人カナさんが登場します。
カナさんは、佐倉生まれ・佐倉育ちで、私のように一度離れたわけでもなく、ずっとこの市内に暮らしてきた同世代の友人です。高校はそれぞれ別だったので、知り合ったのは私がUターンしてきた後。子どもの習い事の関係で偶然顔を合わせて、お互いに「佐倉のどこ出身?」みたいな話で盛り上がったのが最初でした。
カナさんの話には、私がブランクのあいだに知らないままになっていた情報がたくさん混じっています。「あのケーキ屋さんは予約しないと土日厳しいよ」「とんかつなら国道沿いのあそこ、いまも並ぶ」みたいな話が、世間話のなかからふつうに出てくる。Uターン組の私が忘れていた佐倉の輪郭を、ずっと住んでいたカナさんに何度も埋め直してもらっています。
このブログを始めた、ある木曜の夜のこと
ブログを書き始めるきっかけは、子どもの学童とゴミ出しの曜日を同時に調べていた、ある木曜の夜でした。
市役所のサイトには情報がきちんと並んでいるのに、自分の暮らしのスケジュールに当てはめようとした瞬間、どこから読めばいいのかが急に分からなくなる。検索しても、佐倉という単語にひもづく実用情報は意外なほど少なくて、住んでみてはじめて困るタイプの情報ばかりが、検索結果のあいだから抜け落ちているように感じました。
20年ぶりに戻ってきた私のような人——あるいは、ニュータウン側に引っ越してきたばかりで、城下町側の佐倉をまだ知らない人——が、最初に手を伸ばせる入口があってもいいんじゃないか。そういう、わりと地味な動機で書き始めたのが、このブログの出発点です。
読んでくださる方へ
佐倉は、JR総武線快速で東京駅まで一本、京成本線で都心へもつながる、ベッドタウンとしての顔を確かに持っています。けれども、駅から少し歩けば佐倉城址公園と歴博と武家屋敷が当たり前のように並んでいる、城下町としての顔も同時にあります。チューリップまつりと花火大会と秋祭りで季節を区切る生活のリズムも、このまちに来てから少しずつ戻ってきました。
これから佐倉に来る方、最近来たばかりの方、ずっと暮らしている方、Uターンを考えている方。それぞれの立場で違う読み方をしてもらえるサイトにしたい——というのが、二人でこのブログを書いている私たちの願いです。
「城下町の魅力!佐倉のいいところ」をタグラインに掲げているのは、このまちの良さが、観光ガイドの見出しだけでは説明しきれない場所にあると感じているからです。あなたなりの佐倉を見つける入口に、このブログがちょっとだけなれたら、書き手としてはとてもうれしいです。
